日本テレビ「NEWS ZERO」

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12月10日イチメン COP13で注目!"森林破壊・途上国"

今年のノーベル平和賞授賞式は
映画『不都合な真実』のアル・ゴア元米副大統領、そして、
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)がそろい踏み。
今年2007年は本当に環境問題が注目されました。

実は現在も「COP13」という
環境問題では世界最大レベルの
温暖化防止会議が開かれているのです。

インドネシアのバリ島で開かれている「COP13」
国連「気候変動枠組条約」の
13回目の締約国会議という意味です。
今回中心になるのは、
2013年で切れる京都議定書の次の期間、
「ポスト京都議定書」をどうするかということ。

その中でも今回注目されているのが
「森林破壊」の問題と「新興国」の問題です。
ではまず、森林破壊から見ていきましょう。

今回、COP13の開催国であり議長国でもあるインドネシア。
その農村地帯でとらえられた映像です。


単なる山火事のようにも見えますが...そうではありません。

泥炭とは、植物の残骸が数千年をかけて
炭化してできる地層。

本来は水分をたっぷり含んでいるのですが...
農地を開発しようと森林を切り開いたことで
その下にある泥炭が乾燥し、
さらに焼き畑などで放たれた火が
燃え移っているのです。

泥炭は植物の残骸でできているので
乾燥すると燃えやすく、
いまインドネシアの各地で
この泥炭火災が広がっています。

いったいそれがどんな意味を持つのでしょうか?
専門家はこう話しています。

 
北海道大学植物栄養学
大崎満教授のお話
「出てくる二酸化炭素の量が膨大で、
東南アジアの泥炭地域は
世界的に大きなインパクトを持っている」

実は。インドネシアの泥炭地から出る二酸化炭素の量は
年間平均で「20億トン」とも試算されています。
これはなんと、日本から1年間に出る
二酸化炭素排出量「13億トン」を上回る量です。

森林火災が起きると、もともと森林が持っている
「二酸化炭素を吸収する力が無く」なります。
その上、森林が燃えることで
「二酸化炭素を放出し続ける」という
地球環境にとってはダブルパンチ。

だからこそ「森林破壊」は温暖化を考える時に
見逃せない出来事なんです。

それと、もう1つCOP13で
注目されているのは新興国の問題です。

いま、世界全体で年265億トンの
二酸化炭素が排出されていますが、
この中で京都議定書によって
削減量を決められている国は
全体の3割に過ぎません。

最大の排出国アメリカは
京都議定書に批准しておらず、
「削減の義務」を追っていません。

また、排出量第2位の中国。第6位のインド。
成長著しい「新興国」と呼ばれるこれらの国は、
京都議定書に入ってはいますが、
削減の「数値目標」がありません。

つまり、これらの国々は現在、
二酸化炭素をいくら出しても
「おとがめなし」の状態なんです。

ところが、注目の新興国・中国は
ここまでの会議の中で
「現在の温暖化は先進国の責任。
新興国が義務を負うことはない」と主張。
先進国はいままで散々二酸化炭素を出して
成長してきたくせに...というわけです。

こういった主張をする新興国を巻き込んで
世界が足並みをそろえて
温暖化対策にのぞめるのかが注目されます。
以上、イチメン!でした。